京都の老舗居酒屋「赤垣屋」さんで至福の一献タイム
はじめに
京都の繁華街の中心である四条河原町の喧騒からすこし離れた鴨川沿いの川端御池に名店「赤垣屋」があります。
観光客が多い京都では、ガイドブックに掲載されているような子綺麗な割烹や日本料理をイメージするが、こちらは地元の方が足繁く通う飾り気のない店です。
ところが最近は口コミで情報がひろがり、17時の開店前には行列ができるほどの人気店で、実際に私がお邪魔した日も何人かの方が満席で諦めてお帰りになっていました。
ここ「赤垣屋」は、 現在の地で営業を開始されたのが昭和24年からということなので、60年になんなんとした老舗の居酒屋です。
佇まいは、京都の町屋か番屋を彷彿とさせる木造で、
入口の引き戸には縄暖簾がかかっており、今日は暑かったので、玄関の引き戸は開けっぴろげされていました。
店に入ると左が カウンターで右がいくつかの小上がり、さらに鰻の寝床の奥には座敷。そこまでお客さんで埋まっていました。
まさに古きよき酒場情緒を残した温もりがあります。
静かな店が多い京都ではめずらしく、大将と従業員の方の「いらっしゃいませ」という小気味好い声が響きます。
大将に促されカウンターの奥から2番目の席に着座した。
メニューは経木に書かれており、値段はかかれていません。
食事
さあ注文。
まずは生ビール。
お通しは漬物。これだけでそこそこ飲めます。
いつもの通り「しめ鯖(きずし)」から注文しました。
ここでは注文すると「しめ鯖、一丁」「しめ鯖、一丁、ありがとうございます」と大将と従業員の間で注文品を繰り返されます。
これも気持ちがいい。
お料理は際立つ美食というより素材の味を活かしたシンプルな味わいです。
裸電球のもとで一献傾ける客層は、男性中心で、まさに男の酒場といった雰囲気です。
私の隣の男性はいかにも常連という感じで、雪駄履きで煙草は「Peace」。
シブいねぇ。
本を読むわけでもなく、携帯電話をいじるわけでもなく、店員と話をするという風でもない。
ただ刺身をつまんでは、酒をチビチビとやる。
しばらくするとお銚子を持ち上げて、一言「おかわり」。
まさに板についている。
人気店ではほかのお客さんも待っているので、飲食を終えたら、とっとと御暇するのが私のポリシー。
「お勘定」というと、大将の大きな通る声で注文品をひとつひとつ確認してお会計してくれます。
帰り際、入口で新規のお客さん3名様とすれ違いました。
商売繁盛でなによりです。
煌々とした灯りもすくない二条橋のたもとで赤く浮き出る「赤垣屋」の表看板をあとにしました。